今日のテーマは、「くらし・あんしん・たのしい」のうち、「あんしん」についてです。
中でも、子育て支援について、私の考えをお伝えしたいと思います。

子育て支援について、田中しげのりが考えること

藤沢市は、2014年4月1日時点の調査の結果、保育園への入園を希望する子供達(待機児童)の数が県下ワースト1となり、大変大きな問題として取り上げられました。

(参考:藤沢市 待機児童数 県内最多に〜前年度からは19人減(タウンニュース藤沢版)

これが、行政として「子育て支援」に本気で力を入れていくきっかけになったことは記憶に新しいと思います。

以降の取り組みにより、「待機児童の状況と保育所の整備状況等について(2015年5月28日記者会見・案件2)」という市の保育課の発表によると、平成28年度(2016年度)当初の待機児童ゼロを目指した段階的な定員増施策や新規整備などが進められているとあります。
以下の資料にどの地域にどの程度の定員増があったり、認可外から認可保育園になるのか、などがまとめられていました。

(参考:待機児童の状況と保育所の整備状況等について/記者会見資料 2015年5月28日

また、2016年2月1日付で「認可保育施設のクラス別入所状況について」の発表がなされています。年齢が低いほど空きが見当たらなかったり、もしかすると、実際にはもっと希望者があるにも関わらず「多分、入るのは難しいだろうから」と諦めてしまっているケースや、「お迎えのことを考えると職場の近くの施設に」と考えて市外に子供を預けるケースなどもあるかもしれません。

そのため、現状に満足することなく、2016年度の待機児童ゼロへの挑戦とその後の子育て環境の充実は続けられるべきことです。それが、これからの藤沢の希望の光になっていくのですから。

しかし、一方で、このことばかりに目を向けるだけで本当に良いのか? 少し疑問を感じもしています。

まず1つ目の疑問は、「子供の数が増え続けているのに、小学校や中学校の数は足りているのか?」ということ。例えば、教室の数が足りなくてプレハブで代用しているということはやっぱり“おかしい”ことだと思います。ですが、「では、新しく作ろう」と建設しても、それがずっと続くニーズなのか、しっかりと考えなくてはなりません。

「数年後は近接の2つの学校を合併して、片方は改築して特別養護老人ホームに転用する」といったムリなくムダなく、先々のことを考えた対応をしなければと考えます。
だって、使えるお金の額は決まっているのですから!

そして2つ目は、「子育てをしていると、確かに想像以上に出費がある。特に学校に行くようになったら、乳幼児期とは比べものにならないほどの出費が……。そうした理にかなった支援は充分になされているのか?」ということ。

最後の3つ目は、「子供たちにとって、何かに挑戦してみたい、と思った時、大人としてそれをサポートしてあげられる体制はあるのか?」ということです。

確かに、「保育園が足りていないから対応する」ということは大切です。しかし、もっと長い目でみて、未来モデルのまち・藤沢を担う全ての子供たちが、必要なときに、必要な支援が受けられる環境も考え、整えていくべきでしょう。

そこで私は、子育て支援として次のようなあり方を考えました。

田中しげのりの子育て政策(案)

全部で5つあります。
1つ1つ私の考えをお読みいただき、ご意見をいただきつつ政策として磨きあげていくためにも、現在は(案)としています。
またしても長くなるので、「気になるテーマから先に読みたい!」という場合は、以下の見出しをクリックしてお読みいただければと思います。

高校生までの医療・教育支援

  • 高校生までの医療費無料化
    0歳から中学校卒業までの子供の医療費に関する「藤沢市小児医療費助成制度」を拡充し、高校生までを対象とする。
  • “みんなの食堂”実験
    夜、食事をとる時間が遅くなりがちな子、共働き家庭などでひとりで食事をとることが多い子を中心に、「大人が通う藤沢学校」に参加する地域の大人たちと一緒に食事をすることのできる場を実験的に設ける。
  • 副教材費の無償化に向けた取り組み
    公立学校で利用される副教材※1について、無償化を目指す。
    (※1 ここでは、教科書以外で補助的に活用される、プリントやドリル・冊子など、今、家庭で追加費用を支払って購入しているものを指します)
  • 子供育成基金を創立
    子供たちの有志が「ダンスグループをつくりたい」「プログラミングを学んでアプリをつくりたい」「地域でこんな取り組みをしたい」など、自主的活動をしたいと考えた場合。もしくは、「クラブの遠征費を得たい」などの場合、所定の申込をした上で、プレゼンテーションを行って、ジャッジの結果として費用を得るような仕組みの導入を考えています。
    もちろん、“出資者”である基金事務局をはじめ、寄付者に対し、成果の報告や、これからの目標などを示してもらい、「自分の夢を訴え、自分の力で周りを説得し、実現する。さらに、その先のことを考える」というチャレンジの場となればと思います。
  • 公立小中学校に出納専任の職員を配置
    教員に、より専門的なことをしてもらうために、出納関連を担当する職員を配置するように働きかけます。先生の負担を減らすことで、子供たちに向き合う時間を増やし、学校環境をより良くするきっかけになればと考えます。

高校生までの医療費無料化

現在、藤沢市では、0歳から中学生までの医療費が無料化※2されています。
これを高校生まで、伸ばすことを考えています。

理由としては、まず、高校生くらいになると、身体がつくられてきて、風邪や発熱などはあっても、一般的には病院に頻繁にかかる、という場合が少ないためです。逆に、病院に通う必要があるということは、深刻なケースも考えられるため、支援の対象とするべきだと考えます。

加えて、この時期特有のこととして、例えば、急激な成長による関節の痛み、スポーツによる外傷、無理なダイエットをしたり、ニキビに悩んだり、といった心と身体のケアが必要な問題も出てきます。

こうしたことは、大人なら誰もが通ってきたもの。
しかし、当事者にとっては大きな悩みとなるものもあるでしょう。そうした時期をサポートしていくことも、健やかな生活を支える行政の役割だと考えます。

※2 藤沢市「小児医療費助成制度

“みんなの食堂”実験

家族の帰りが遅いため夕食が遅くなりがちな子供や、時間がズレてしまい、ひとりで食事をとることが多い子供などに向けた取組みとして挙げている「みんなの食堂」。
ですが、子供たちだけを集めるのではなく、「大人が通う藤沢学校」に参加する地域の大人たちとの交流の場としても機能させることができれば、と考えています。

まず子供たちと、その親について。
近年、藤沢市は「ここで暮らしたい」と希望する人たちの転入が増え、多様なライフスタイルを持つ家庭が増えてきました。中には、都心などで遅くまで働くような毎日であるため、食事のことを十分に考える余裕がない家庭もあることでしょう。このほかにも、子供たちにはちゃんとした食事をとらせたい、と考えていても実際には難しい状況が、今後も含めて出てくることが想像できます。

他方、大人たち、特に、ひとりまたは2人暮らしの高齢者世帯などでは、本人たちの食べる量が少ないこと、また、作る体力に不安があるなどの理由で、食生活が疎かになりやすいもの。
栄養の偏りが心配される食事を改善する場を設けることは、疾患対策の課題のひとつとも言えるのです。※3

この両者の問題を解決する手段として、“みんなの食堂”をつくり、共に食事を作り、共に食べる場を創設することで、楽しく栄養にも配慮された食生活をサポートしていきたいと考えます。
さらに、この食堂が、働く親世代にとっても安心できる仕組みとして受け入れられれば、嬉しい限りです。

まだまだ検討段階ではありますが、東京都や沖縄県でも実施事例※4が報告されているので、ぜひ取組みについて調査し、意見を交換しながら、藤沢市でも実施できればと思います。

※3 参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「低栄養

※4 参考:
東京新聞(TOKYO Web)「ご近所を満腹に「こども食堂」 貧困家庭支援 無料で夕飯」2015年12月19日 夕刊
琉球新報「300席の子ども食堂、沖縄市に来月開設」2015年11月17日
琉球新報「浦添市、こども食堂を支援 来年度、2カ所の備品予算化」2015年12月10日
西日本新聞「子ども食堂のすすめ 開設者ら東京でシンポ」2016年01月21日

副教材費の無償化に向けた取り組み

学校では、教科書のほかに、学習の習熟度を上げることを目的として教科書以外の教材が使われることがあります。これを副教材または補助教材と言い、例えば、計算ドリルや漢字ドリル、宿題などにも使われるプリント類、画用紙、工作キットなどが該当するそうです。

では、「副教材と補助教材の違いは?」と思っていろいろ調べてみたのですが、どうやらこの2つの定義は曖昧なようで……。

ここでは、「中学生までの、国(現代/古典)・算(数学)・理(生物/物理/化学)・社(生活/地歴/公民/倫理)・英といった主要科目のうち、教科書以外で学習に不可欠な教材で、教員が学校または学年で任意で活用すると決めたもの」としたいと思います。

これについて、公立小中学校では無償化したいと考えています。
理由は、主に2つあります。

中学校までの教科書が無償なら、授業に不可欠な副教材も

まず1つ目は、「学習に不可欠であると考えられるなら、副教材も教科書と同じ扱いになってもいいのではないか」と、考えるからです。

親は子供に対して、これから生きていくために必要なことを学ばせてあげる義務があります。そんな場で、「この教材を使った方が、より学習に役立つだろう」と用意されるものが副教材なのだとしたら、それは教科書にも劣らないもののはず。

それならば、無償であっても良いのでは? と考えます。教科書のように国が無償給付をしないとしても、少なくとも家庭が個々に負担するのではなく、市として給付してもおかしくないものだと思います。

「公立学校に行ったのに、意外に教育にかかる費用は家計に響く…」という現実

2つ目の理由としては、「家庭への負担を減らす」という目的があります。
公立学校に行く理由は様々だと思いますが、親としては、大学までに子育てに必要な費用を考えると、やっぱり公立の学校へ……という思いが、ちょっぴり思ってしまうもの。。

また、クラブ活動で、塾で、公共交通機関を使う時、中学校から料金は大人と同じになりますし、学用品にかかる細々としたお金(運動靴はすぐに駄目にするし、ノートや文具はすぐになくなるし、身体が大きくなると服だって買い替えが必要だし……)だって、積み上げればなかなかどうして。小学校高学年から中学校以降は、想像以上に物入りです。

参考として、幼稚園・保育園から高校までの子育てにかかる費用を例示したいと思います。

幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額
区分 学習費総額 合計(円)
幼稚園 小学校 中学校 高等学校
すべて公立 634,881
(公立)1,492,823
(私立)
1,924,383
(公立)9,215,345
(私立)
1,444,824
(公立)4,017,303
(私立)
1,226,823
(公立)2,973,792
(私立)
5,230,911
(公→公→公→公)
幼稚園だけ私立 6,088,853
(私→公→公→公)
高等学校だけ私立 6,977,880
(公→公→公→私)
幼稚園及び高等学校が私立 7,835,822
(私→公→公→私)
小学校だけ公立 10,408,301
(私→公→私→私)
すべて私立 17,699,263
(私→私→私→私)

注:学習費総額は、学校教育費、学校給食費および学校外活動費の合計。
数値出典:文部科学省「結果の概要-平成26年度子供の学習費調査2.調査結果の概要

公立幼稚園・小学校・中学校・高等学校の学校教育費の内訳(平成26年度の年額)

注1:「学校納付金等」とは,入学金,検定料,私立学校における施設整備資金,学級費,PTA 会費等であり,統計表の「学級・児童会・生徒会費」「PTA会費」「その他の学校納付金」「寄附金」の計である。

注2:「図書・学用品・実習材料費等」とは,授業のために購入した図書,文房具類,体育用品及び実験・実習のための材料等の購入費であり,統計表の「教科書費・教科書以外の図書費」「学用品・実験実習材料費」の計である。

注3:「通学関係費」とは,通学のための交通費,制服及びランドセル等の通学用品の購入費であり,統計表の「通学費」「制服」「通学用品費」の計である。

数値出典:文部科学省「結果の概要-平成26年度子供の学習費調査2.調査結果の概要

このグラフは「学習費」だけですが、この時期は食べる量が増えたり、高校受験のための塾代が必要になったりするもの。そんなことを考えると、実際に子育ての支援が必要になってくるのは、実は小学校以降、特に中学校以降なのでは!? と思えてきます。

ならば、就学支援のひとつとして、家計を助ける手段として、さらに、子供の健やかな成長を支えるあり方として、副教材費を補助することは他のことよりも理にかなっているのではないか、と考えますあ。

※ 高校生なら、場合によってはバイトをすることもできるということで、ここでは中学生までの支援を先んじて行うという判断をしました。

子供育成基金を創立

子育て支援の中で、これだけは、「子供たちの自主性」に対するもの。少し毛色が違う政策となっています。私はこれを「実学を学ぶ機会として活用してもらい、将来、藤沢から世界を代表するような経営者が生まれる仕組み」となってほしいと切望しています。

まず、基金は寄付によって運営します。
私が返上すると言っていた給与の1/3を、ここに寄付したいと考えています。

さて、この「子供育成基金」。どんな取組みかというと、例えば、

  • 「学校を超えてスポーツチームを作って大会を目指したいけど、練習するための場所やお金がない」
  • 「遠征に行って、練習のレベルを上げ、全国大会を目指したい」
  • 「プログラミングの勉強をして、みんなでアプリを作りたいので場所を貸してほしい。また、そうしたことを教えてくれる著名人を招きたい」

などなど、学校内外の活動を積極的に行い、夢の舞台を目指す、という希望を持つ子供たちをサポートするものです。

まず、基金に希望申請をしてもらいます。
次に、大人である基金の運営者のうち、ジャッジする人たちが聞きたいこと、「何故それをしたいか」「どうしてお金が必要か」「どんな風に使うか」「どんな目標をもっているか」「自分たち(個人も可)にとって、それをすることはどのくらい意味があるか」といった内容をまとめてもらい、プレゼンテーションしてもらいます。

要するに、子供たちの“本気度”を聞くわけです。

それに対して、「どういうところが素晴らしいから、基金から○○円を渡す。場所は、△△を使えるようにする」と支援の内容を決定します。

さらに、給付から1年、または、その時に決めた期限まで頑張った結果について、「どんな成果が出たか」「どんな困難があって、どう乗り越えたか」「何が一番印象に残ったか」「これから、今回の経験をどう活かすか」といった報告をしてもらいます。

この一連の行為は、子供たちに「周りの大人を説得して、自分で得たお金で、自分の夢ややりたいことを叶える」ことを学ぶ実学の場として利用してもらえたら、と思っています。

これは、社会に出る前の予行演習であり、可能性を後押しして、「さいごまで安心して暮らせるまち・藤沢」の新しい芽を育む機会となると信じています。

公立小中学校に出納専任職員を配置

これも、直接的に子育て支援となるか分かりませんが、教育支援として掲げたい提案のひとつです。

公立学校では、経費計算、例えば日々のプリント印刷、給食費の管理、遠足の費用といったお金の管理を、教員の方が担っているそうです。もちろん、日々の授業、授業計画、グラブ活動の指導、宿題やテストの添削、生徒指導、進路相談など、本来教員としてやるべきことをやった上で、です。

先生ひとりに対する負担が大きければ、残念ながら子供たちに目を配る時間が思うように取れない、ということもむべなるかな。

志をもって教師の職に就いた先生には、子供との時間教育のこと自らの知識を広げること、こうしたことにもっと時間を割いてほしいと思い、この提案を入れました。

教育委員会や行政の中で調整するべきこと、さらに、国を含めて協議するべきこと、たくさんあるでしょう。すぐに取り組みが成功するかも分かりません。でも、次の世代の担い手を育てる場を、しっかりとしたものにするためにも、この提案を実現させることが、いじめ問題をはじめとする教育現場の諸問題を解決し、学校を生徒にとっても、先生にとっても実り多い場とするきっかけのひとつになると考えています。

子育て支援」は、実に多くの立場のひとに関わることであり、取り組むべき課題です。
当然ながら、子供の人生は私たちより長く、「子育て支援の政策」は、その人生に直接影響を与えることでもあります。

目先だけでなく、10年先、30年先を見据えて、どう取り組んでいくのかしっかりと考え、実際に直接・間接的に子供と関わっている人の言葉を聞きながら、未来の藤沢を創るために、進めていきたいと考えます。

田中しげのりの子育て政策、5つまとめてお伝えします!

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