「くらし・あんしん・たのしい」の中でも、少し特殊な提案である「未来にのこる資源、湘南ピア(桟橋)の建設プロジェクト」。
色んな方に「ピア? 何それ?」と言われるので、今回はこれについて紹介したいと思います。
私とピアとの出会い
私がこの湘南ピアプロジェクトをやってみたい、と考えたのは、大学生の頃に行ったカリフォルニア ハンティントンビーチの風景がずっと頭に残っていたからです。
ピアを日本語で表すと「桟橋」なわけですが、こう聞くと、「ボートなどを繋留する簡易的に作られた橋」みたいなものを想像してしまいますよね。でも、カリフォルニアのそれは、「地域の皆が集い、海に親しむ場所」という雰囲気のものでした。
子供たちが駆け回り、その親や友たち同士がランチを楽しみ、景色を絵描く人もいれば、サーフィンの合間に腹拵えをする人たち、恋人同士で波を眺めたり、老夫婦が日向ぼっこをしていたり……。
思い思いに時間を過ごす姿は、「あぁ、いい人生を送っているんだろうなぁ」と羨ましく思ったものです。
そして、そこには名物のホットスナック(ホットドッグやプレッツェル、ポテトなんかですね)を出す屋台や、オープンカフェなどがあり、本当に開放的で寛ぎの時間が広がっていました。
そんな場所を、自分の大好きな藤沢の街につくってみたい、それが今回のプロジェクトのきっかけです。
ピアをもっと具体的にご覧下さい
マジメな話の前に、カリフォルニアを訪れている友人がステキな写真を送ってくれました。本人にこのブログで紹介してもいいか? と尋ねたところ、快諾してくれたのでここで数点紹介したいと思います。
ピアをつくることの“本当の意味”
さて、話を元に戻しましょう。
先にお伝えしたように、カリフォルニアでは、地域の憩いの場となっているピア。しかし、藤沢のピアはこれより少し踏み込んだ場所にしたいと思っています。
海に面する街・藤沢だからできる学びの場所に
豊かな海は、私たちの気持ちを穏やかにし、ホッとさせてくれるものです。
一方で、津波のような大きな災害はもちろん、海水浴で離岸流に巻かれたり、足を取られて危ない思いをした、という経験をお持ちの方もいるかもしれません。
こうした、海に近いからこそ訪れるかもしれない“もしもの時”を想像し、それに対処する知識・知恵を身につけてほしいと強く考えます。
また、そうした場面で「どう対処するべきか」「ファーストエイド(応急処置)はどうすれば良いか?」などは、大人にとっても必要な知識です。これを、このピアで伝えられれば、と考えています。
海岸線を守り、観光資源を守るための海岸ゴミ拾い
私もサーファーのひとりとして、藤沢の海に入る機会があります。
そんなサーファーは、髪が潮に焼けて茶髪になったり、肌が小麦色になっているので、一見すると「ちょっと近寄りがたい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも実は、海のことをとても大切に考えているし、海岸を美しく保つためにボランティアで清掃活動をしたり、日常的に“地域に貢献する活動”を続けています。
そうした取り組みを、もっと地域全体でやっていければ、と考えています。
そうすれば、「自分たちの藤沢の海・海岸を守るため」の意識が広がり、たびたび問題になっているバーベキューのゴミを置きっぱなしにする人も、ゴミのポイ捨てをする人も少なくなるのではないでしょうか?
さらに、プラスチック系の製品を利用する機会を少なくする※、出さない努力をする、といったことで、海洋汚染の中でも身近に改善できることに意識が高まるのではないでしょうか?
また、この地を訪れる人たちに対して、「この藤沢で、ゴミのポイ捨てなどの迷惑行為は許さない」と、断固として声をあげていくこともできるでしょう。
子供たちがいつまでも、この美しい海を誇ってくれるように、大人たちが、まずは始めていきましょう!
児童マリン学校
藤沢には、プロフェッショナルのサーファーをはじめ、多くのプロマリンスポーツマンがいます。彼らは、選手生命は短いながら、世界から尊敬されたり、憧れの的になった人材でもあります。
そんな彼らを中心に、マリンスポーツを愛する有志が、子供たちに「プロの技」を見せたり、「プロの練習方法」を手ほどきすることで、今はまだ開花していない能力を見付けたり、運動が苦手だったり、これまで機会がなかった子供たちに、きっかけを与えることができれば、と考えています。
もしかすると、東京五輪、それ以降に、藤沢から選手が出れば!? そんな希望も含めた構想です。
今はまだ、構想段階のものですが、少しでもみんなでワクワクしながら、「こんなことをやってみたい!」とか、「こういう風にしたら良いんじゃない?」というアイデアを募り、ピアという建築物だけでなく、「藤沢の海を中心にしたライフスタイル」が、世界に注目される観光資源に育ってくれれば、と考えています。
文化・スポーツ・芸術の発信基地として、世界に羽ばたくスポーツ選手を育てる
「海を楽しむのは、やはり夏がメインなので、江ノ島の観光客との取り合いになるのでは?」という意見もあると思います。
もちろん、ピアは「海に入るための付属施設」ではないことは先にもお伝えした通りなのですが、さらにもう1つ。
藤沢には鵠沼海浜公園スケートパークという公園施設があります。みなさんはご存知でしょうか?
ここは、スケートボードやBMX、ローラーブレードなどのスポーツを、子供から大人まで一緒に楽しめる場所。日本でも数少ない「海岸が目の前に広がる施設」として愛好家の間では有名になっており、遠方から訪れる方も多くいらっしゃいます。
実は、数多くのプロスケートボーダー、BMXやローラーブラードのプロ達、そしてサーフィンのプロフェッショナルがここで切磋琢磨しながら育ち、世界へと挑戦しています。(ちなみに、体幹とバランス感覚を鋭くするために、上記以外のスポーツを行う人も利用しているそうです)
しかし、予算の問題などがあり、施設のメンテナンスや保守管理、新設備の増設は非常に厳しい状況にあります。
そこで、湘南ピアプロジェクトは、このスケートパークも含めた「地域の憩いとスポーツに親しむ場」としての側面も持たせたいと考えています。
まずパークの改修工事を行い、その上で「民間企業の協賛を促し、世界に通用する人材を育成する施設」とすることで、世界的認知度を高めていければ、と構想しています。
特に、来場したお客さまが利用するための飲食店の誘致、施設を運営し技術を磨こうとする人たちの技術向上を支えるための年間協賛企業の募集などには力をいれていくべきところです。
これは、地元と民間企業、そして行政のチカラを上手く組み合わせることができれば、決してできないことではないでしょう。
そうして、鵠沼をカリフォルニアのベニスビーチのような「文化、スポーツ、芸術の発信基地」として育て上げることができ、通年観光施設として成長させれば、十分な財源を生み出すことも可能でしょう。
このすべてを合わせたものが、湘南ピアプロジェクトなのです。
今はまだ私の胸の中にあるこの構想が、いつか地域のものになれば、と考えています。
※ プラスチックゴミによる海洋汚染について
以前より、サーフライダーファンデーションというサーファーの団体でも語られていましたが「The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics(英文)」と題されたレポートによると、「(中略)Significant economic value is lost after each use, and given the projected growth in consumption, by 2050 oceans are expected to contain more plastics than fish (by weight),(以下略)」と出ていました。
大まかに意訳すると「プラスチック製品の価値は使用直後に失われ廃棄される。これが海洋に流れ込む量は大きく、2050年までに海中の魚の重さよりもプラスチックの重さのほうが大きくなることも考えられる」というところです。
プラスチックゴミを回収しリサイクルする取組みはもちろん行っています。また、海岸のゴミ拾いでプラスチックゴミが海洋に流れていかない努力も続けています。が、それだけではなく「根本的に、プラスチックを使わない方法を考える」ことも今後は必要だと思います。マイボトルはその好例と言えると考えています。